もらい事故とは、過失割合が0%:100%で、事故の相手方が事故の100%の責任を負うべき交通事故のことをいいます。
もらい事故により、ユーザーの所有する自動車が修復歴車となってしまった場合、その買取りの際の査定額はどうなってしまうのでしょうか?以下では、この問題について解説します。
もらい事故で修復歴車となった場合でも査定額は下がる
中古車の査定上は、もらい事故であろうがなかろうが、事故により一定の修理を行った自動車は修復歴車として扱います。
よって、結論から言うと、もらい事故で修理した自動車の査定額は下がります。
ただし、査定上の評価が下がる修復歴車とは、業界団体である(社)日本中古車査定協会等が定める基準で、自動車の主要部分と規定されている9つの部分について、修理または交換を行った自動車と定義されています。
よって、もらい事故により自動車を修理した場合でも、その修理を行った部位が、上記の基準で規定する自動車の主要部位に該当しない場合には、査定上は修復歴車としては扱われませんので、事故車であっても査定額が大幅に減少することはありません。
もらい事故による評価損の損害賠償は容易に認められない
もらい事故により修復歴車となった場合には、査定額が下がるかどうかということも重要ですが、同時に、査定額が下がった場合に、その評価減を損害賠償として、事故の相手側に請求できるかどうかも大切です。
一般的には、最初の車検時を迎えるまでの新車であれば、もらい事故による査定額の減少分を、損害賠償として、相手方に要求することが認められるようです。
しかし、それ以外の自動車の場合には、査定額の減少による評価減についての損害賠償は容易には認められません。
それは、新車の場合は別として、事故による査定額の減少分(評価落ちといいます)が、交通事故に関する損害賠償の実務や裁判において、容易に認定されない傾向が強いからです。
「事故減価格証明書」について
ただし、もらい事故による修理で、新車以外でも、自動車の評価損が数十万円も下がる場合もあります。
そのような場合、加害者からまったく損害の賠償をしてもらえないとなると、非常につらいことになります。
そのような場合には、日本中古車査定協会に「事故減価格証明書」を発行してもらい、この証明書を根拠に、加害者や加害者の加入している保険会社と交渉する方法があります。
この証明書の発行は5,000円~15,00円程度の手数料がかかりますが、加害者に評価落ちを賠償させるための有効なツールとなります。
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