自動車には自動車税、自動車従量税、自賠責保険料という3つの大きな税金・保険料が関係しています。
一定の要件を満たした上で、自動車を売却すると、これらの税金や保険料の還付金を受け取ることができます。
目次
自動車税とは
自動車に課税される主な税金には、自動車重量税と自動車税の2種類があります。
自動車重量税は、自動車の重量に応じて課税される税金で、新車登録時や車検(継続検査)時に、納税します。
課税主体は国となっています。
自動車税は、地方税法によって自動車の所有者に対して課税される税金で、課税主体は、自動車の主たる定置場所を所轄する都道府県となっています。
自動車重量税は、新車登録や車検時に課税されますので、車検を行わない限り、自動車重量税は課税されません。
自動車税は、車検を受けるか受けないかに関わらず、毎年4月1日現在の自動車の所有者に課税されます。
よって、何年も駐車場に放置されていて、実際には運転されていない自動車であっても、廃車手続きをしていない場合には、その所有者に毎年自動車税が課税されます。
自動車税は、毎年6月上旬頃に、その年の4月1日時点での課税対象自動車の登録名義人に対して、その年の4月1日から翌年の3月31日までの1年分の自動車税の納税通知書が郵送されますので、その納税通知書によって税金を支払います。
自動車税の税額について
自動車税の税額は、以下のとおりとなっています。
排気量 | 自家用 | 事業用 |
---|---|---|
1.0リッター以下 | 29,500円 | 7,500円 |
1.0超1.5リッター以下 | 34,500円 | 8,500円 |
1.5超2.0リッター以下 | 39,500円 | 9,500円 |
2.0超2.5リッター以下 | 45,000円 | 13,800円 |
2.5超3.0リッター以下 | 51,000円 | 15,700円 |
3.0超3.5リッター以下 | 58,000円 | 17,900円 |
3.5超4.0リッター以下 | 66,500円 | 20,500円 |
4.0超4.5リッター以下 | 76,500円 | 23,600円 |
4.5超6.0リッター以下 | 88,000円 | 27,200円 |
6.0リッター超 | 111,000円 | 40,700円 |
新車登録から13年以上経過したガソリン車および新車登録から10年以上経過したガソリン車の場合、自動車税の金額が15%UPします。
これは、自動車税のグリーン化と呼ばれるもので、経年劣化で燃費の悪くなった自動車の買い替えを促進し、環境に与える負担をできるだけ少なくすることを目的としています。
自動車税の還付金制度について
自動車を廃車にした場合には、自動車税の還付を受けることができます。
自動車税は、毎年4月1日の自動車の所有者に対して、その年の4月1日から翌年の3月31日までの1年分の税金が課税されます。
そのため、その年の3月31日前に自動車を廃車にした場合には、廃車した時点から直近の3月31日までの期間に対応する自動車税の還付を受けることができます。
たとえば、ある年の9月30日に自動車を廃車するとし、その年の4月1日から翌年3月31日までの1年間の自動車税を、6月中に納税通知書によって一括して納税しているとします。
このケースでは、納税した1年分の自動車税のうち、10月1日から翌年の3月31日までの6ヵ月に対応する自動車税については、後から還付を受けることができます。
1年間の自動車税の金額を51,000円とすると、6か月分はちょうど半分になるので、半額の25,500円が還付を受ける税金の金額ということになります。
軽自動車には、自動車税の還付制度はありません。
よって、軽自動車を年度の途中で廃車にした場合でも、未経過分の軽自動車税の還付を受けることはできません。
自動車税の還付を受ける手続きについて
自動車を廃車にすると、廃車から2か月程度後に、還付通知書が対象者の住所に郵送されてきます。
還付通知書が郵送されてきたら、印鑑とその通知書を持参して指定の金融機関に出向けば、そこで還付金を受け取ることができます。
廃車手続きの際には、廃車をずる自動車の所有者は、印鑑登録証明書を運輸支局の窓口に提出する必要があります。
還付通知書は、運輸支局の窓口に提出した印鑑登録証明書の住所に郵送されてきます。
売却や廃車における自動車税の注意点
自動車税の還付を受けるためには、廃車をしなくてはなりません。
家族や友人、買取店などに譲渡し、譲渡先で譲り受けた自動車を継続して運転する場合には、自動車税の還付を受けることができません。
買取店に自動車を売る場合については、買取店が買い取った自動車を整備して再販売する予定がなく、廃車する場合には、課税年度の最終月である3月に売却する場合を除いて、自動車税の還付を受けることができます。
買取店が買い取った自動車を整備して再販売する場合、買取店では、原則として、売主から買取店に自動車名義の変更を行います。
この場合には、廃車手続きが行われるわけではないので、自動車税の還付は受けられません。
買取店が買い取った自動車を整備して再販売する場合でも、稀に、一時的に登録を抹消することもあります。
このケースでは、売却した自動車は一時的にせよ廃車手続きが行われるわけですから、売主は、自動車税の還付を受けることができます。
買取店に自動車を売却するケースで、買取店が買い取った自動車の再販売を予定している場合でも、一時的に登録抹消が行われる場合には、売主が自動車時の還付を受けることができますので、取引の際に、買取店に対して、一時登録抹消の手続きが行われるのかどうかを確認してみるとよいでしょう。
自動車重量税の還付について
自動車にかかる税金の主なものは、自動車税と自動車従量税の2つの税金ですが、自動車重量税の方も、継続車検の時期に廃車にする場合を除いて、廃車する際に、税金の還付を受けることができます。
自動車重量税は新車登録時または継続検査(車検)時に2年間または3年間分の税金をまとめて払います。
そのため、車検に合わせて廃車をする場合を除き、それ以外の時期に廃車にすると、未経過分の自動車従量税の還付を受けることができます。
自動車重量税の還付を受けるためには、永久抹消登録申請書や解体届出書と一体となった様式の還付申請書に必要事項を記載して届出を行う必要があります。
この手続きは複雑なため、お急ぎの方は、これらの手続きを代行するサービスを提供している事業者もあるので、そちらを利用する方法もあります。
自賠責保険料の還付について
登録検査または継続検査の時に、自賠責保険料も3年分または2年分の保険料を前払いで支払います。
廃車にした時点で、車検の残期間が1か月以上ある場合には、自賠責保険料の還付を受けることができます。
自賠責保険料の還付手続きは、自賠責保険を運営する保険会社に対して、還付申請書を提出することで行いますが、その手続きについては各保険会社で異なるので、実際に手続きをする際には、還付を受けようとする方が契約する保険会社に対して、事前に問い合わせをする必要があります。
廃車時点での車検の残期間に対応した還付金の金額についても、各保険会社によって異なるので、これについても、それぞれの保険会社に確認する必要があります。
廃車にする自動車の買取を依頼する場合の注意点
走行距離が10万キロを超える自動車や新車登録から10年以上経過した自動車を買い取りに出す場合、買取店では、買い取った自動車を整備して再販売するという可能性は非常に少なくなります。
走行距離が10万キロ超の自動車や新車登録から10年以上経過した自動車は、中古車市場で買い手がつく可能性が低く、買い手が付いたとしても、安い値段しかつかないというのがその理由です。
そういった自動車を買取店に販売すると、買取店では、中古販売できそうな部品を取るとか、発展途上国など日本国外へ売却するといった用途に利用します。
いずれにしても、廃車手続きを行うことになるので、一定の要件を満たすと、自動車税、自動車重量税、自賠責保険料の還付金を受け取ることができます。
自動車税の還付については、売買契約時に買取店に印鑑登録証明書を渡しますが、その印鑑登録証明書の住所に、還付通知書が郵送されてくるので、売主が確実に還付金を受け取ることができます。
自動車重量税および自賠責保険料の還付については、自動車重量税については、永久登録抹消申請書や解体届出書と一体となった様式の還付申請書に必要事項を記載して、運輸支局に併設されている税務事務所などに提出する手続きが必要です。
自賠責保険料の還付については、自動車の廃車手続き後に交付される「解体事由証明書」と自賠責保険証書を用意し、それらと保険会社の窓口で交付を受けることができる「自賠責保険料の還付申請書」を一緒に保険会社に提出する手続きが必要です。
廃車にする自動車の査定額を上げるコツ
自賠責保険料の還付金を受ける手続きや自動車重量税の還付金を受ける手続きは、自動車重量税の還付金を受ける手続きとは異なり、結構複雑なので、人によっては、面倒な手続きを嫌って、手続きを行わないで、還付金を受け取らないという方もいらっしゃいます。
買取店によっては、この面倒な手続きを売主に代わって無料で行い、しかも、還付を受ける自動車重量税および自賠責保険料の金額分を買取価格に上乗せして買い取ってくれるというところもあります。
走行距離が10万キロ超または新車登録から10年以上経過した自動車を買い取りに出す場合には、このような還付金を買取価格に上乗せしてくれる買取事業者を選べは、買取金額をUPさせることができます。
普通の買取店に買取を依頼する場合でも、価格交渉の段階で、自動車重量税および自賠責保険料の還付金の取扱いについて話しあい、それらの還付金を買取店が受け取る代わりに、その金額分を買取価格に上乗せするように要求すれば、買取額を上げることができます。
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