引っ越しをした際に、自動車の車検証上の住所の変更手続きを、失念していて、車検証上の所有者の住所と所有者の現住所が異なっている場合があります。
このようなケースでも、自動車を売却できるのでしょうか?
目次
車検証の住所と売主の現住所が異なっていても自動車は売れる
売主の車検証の住所と現在の住所が一致しない場合には、原則として、車検証上の住所を現住所に変更してからでないと、自動車を売ることはできません。
しかし、買取店に買取を依頼する際には、買取店では、売主の住所の変更登録と、名義変更手続きを同時に行えるので、実務上は、売主の現住所と車検証の住所が異なっていても、自動車の売却手続きができないということはありません。
車検証上の住所と売主の現住所が異なっている場合には、売主は、住民票など、住所変更があったことを証明する書面を買取店に対して提出する必要があります。
車検証上の住所が、前住所である場合には、住民票には前住所が記載されていますから、住民票を提出すれば、それが住所変更を証明する書面となります。
売却時に車検証上の住所から2回以上転居している場合の手続き
車検証の住所から売却時点まで、2回以上転居している場合には、住民票には、前住所までしか記載されていないため、住民票は、車検証上の住所から現住所までの住所の変遷を証明する書面にはなりません。
このケースでは、住民票の除票または戸籍の附票を取り寄せて、それを住所の変遷を証明する書面として、住所変更登録や名義変更の手続きを代行する買取店の担当者に渡します。
住民票の除票は、2回前の引っ越しの際に従前に住んでいた住所の市町村役場から取り寄せます。
車検証上の住所から現住所まで3回以上引っ越しをしていた場合には、住民票除票で住所の変遷を証明することは非常に面倒なので、このケースでは、売主の本籍地を管轄する市区町村役場から戸籍の附票を入手します。
戸籍の附票とは、戸籍に記載されている者の、過去の全ての住所の変遷を表示したもので、戸籍の附票を見れば、戸籍に表示されたものが出生から現在まで、どの期間にどこに住んでいたかが一目でわかるようになっています。
他県ナンバーの車を売る際の必要書類について
都道府県の境を超えて引っ越しをした場合でも、他県ナンバーの自動車が引っ越し先の都道府県で走行してはならないという規則はありませんので、所有者の住所変更手続きやナンバープレートの交換手続きは不要です。
しかし、他県ナンバーの車を売る場合には、さすがにそのままというわけにはゆきません。
車を売る前にまたは売ると同時に住所変更の手続きが必要になります。
他県ナンバーの車を売る場合には、以下の書面を揃える必要があります。
- 車検証
- 住民票
- 自賠責保険証
- 自動車税納税証明書
- 身分証明書
- 実印
- 印鑑証明書
- リサイクル券
複数回住所を移転している場合には、住民票の代わりに戸籍の附票を用意する必要があります。
この他、買取店に車を売るのではなく自分で売却手続きを行う場合には、譲渡証明書、委任状、変更登録申請書も用意しなくてはなりません。
住民票や戸籍の附票がなぜ必要になるか
自動車の名義変更手続きをする際には、間違いなく、自動車の所有権が売主から買主に移転したことを証明するために、譲渡証明書を作成し、これに売主が実印を押印して、印鑑登録証明書を添付します。
印鑑登録証明書には、売主の現住所が記載されていますが、この住所が車検証に記載されている売主の住所と一致する場合には、特に問題はなく、名義変更ができます。
しかし、印鑑登録証明書に記載された売主の住所と車検証上の売主の住所が一致しない場合には、手続き上は、譲渡証明書に押印した者と、車検証上の登録名義人が別人と判断されますので、名義変更手続きができません。
そこで、売主の住所の変遷の証明する住民票や戸籍の附票を提出して、車検証上の住所から現住所に売主が引っ越したことを証明し、住所は違っていても、譲渡証明書に記名押印した者と、車検証上の登録名義人が同一人物であることを証明します。
この証明ができれば、名義変更手続きが可能になります。
車検証上の住所と現住所が異なることによるデメリット
法律上は、車検証上の自動車所有者が住所変更をした場合には、15日以内に、住所変更手続きをしなくてはならないことになっています。
この規定に違反すると、罰金が科せられることがあります。
名義変更手続きには、約2万円ほどの手数料がかかると言われています。
そのため、引っ越しをしても、車検証上の住所の変更手続きを行わない方もいらっしゃいます。
しかし、何かのキッカケで、住所変更の手続きをしていないことが運輸支局にばれた場合には、罰金を取られることがあるので、十分な注意が必要です。
自動車の所有者の登録住所変更手続きは難しくない
自動車の名義変更手続きは、買取店に買取を依頼する場合には、車検証上の住所と現在の住所が異なる場合の住所移転手続きを含めて、買取店が代行してくれますので、あまり心配することはありません。
住所移転手続きが必要な場合には、買取店から売主に対して、住民票を用意してくださいだとか、戸籍の附票を用意してくださいとかという指示があるので、その指示にしたがっていれば大丈夫です。
個人間売買の場合には、名義変更手続きや住所移転手続き売主が行わなければならこともあるので、注意が必要です。
しかし、この場合でも、手数料を支払えば、自動車の登録手続きを代行している専門業者に手続きを依頼できますし、自分で行う場合でも、インターネットなどで手続きの方法が公開されていますので、それにしたがって行えば、そんなに難しいものではありません。
売主の車検証上の住所と、現在の住所が異なる場合でも、名義変更手続きが少し複雑になるだけの話であり、そうだからといって自動車の売却自体ができなくなるということは決してありません。
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