自動車にはさまざまな税金が課税されます。
では、それらの税金の課税期間の途中で車の下取りがあり、所有者が変わった場合には、それら税金はどのように取り扱われるのでしょうか
目次
自動車税について
自動車を下取りに出す際、下取り価格に自動車税の未経過分が含まれているかどうか、また、自動車税の未経過分が含まれている場合、その価格が適切な水準であるかどうかを確認する必要があります。
自動車を下取りに出す際に発生する自動車税の未経過分とは、自動車税が、課税対象年度に誰が課税対象となる自動車を運転するかということとかかわらず、毎年4月1日の課税対象自動車の所有者に、課税対象年(4月1日から翌3月31日まで)の1年分の自動車税が課税されるという仕組みのために発生する、自動車の売主の自動車税の過払分のことを言います。
たとえば、ある個人ユーザーAさんが、ある年の5月1日に自動車を下取りに出すとします。
このケースでは、その年の4月1日から翌年の3月31日までの1年分の自動車税は、売主であるAさんに課税されます。
しかし、Aさんは、5月1日からから翌年3月31日までまったく課税対象となる自動車を運転しないわけですから、それなのに、1年分の税金を支払うとすると、税金の過払いとなります。
そこで、このような場合、自動車税の未経過分を車両本体価格に上乗せして、下取り価格を決めるのが自動車取引の習慣となっています。
Aさんの場合、Aさんに課税される1年間の自動車税を12万円、下取りに出す自動車の本体価格を50万円とすると、自動車税の未経過分は10万円となります。
自動車税の未経過分を上乗せした下取り価格は60万円となります。
下取り価格に含まれる自動車税の未経過分をチェックする必要がある
自動車を下取りに出す場合、売却時期が3月~4月である場合には、自動車税の未経過分にあまり気をつかう必要はありませんが、それ以外の時期に自動車を下取りに出す場合には、買取店が提示する下取り価格に自動車税の未経過分が含まれていることを確認する必要があります。
下取り価格に自動車税の未経過分が含まれているという場合でも、その未経過分の計上額が、適切な水準であるかどうかを確認する必要があります。
下取り価格に自動車税の未経過分が計上されていない場合には、買取店にそれを計上するように要求します。
また、計上されているがその価格が適切でない場合にも、適正な価格を計上するように要求します。
特に、4月や5月に自動車を下取りに出した場合には、6月頃に、手放したはずの自動車の1年分の税金の納税通知書が送られてくるので、下取り時に未経過分の支払いを受けていないと、損をすることになります。
良心的な買取店であれば、その時点で、後払いで未経過分の支払いに応じてくれるところもあるでしょうが、ずるいところだと、知らんぷりをされてしまうこともあります。
自動車税の還付について
自動車税の未経過分の還付金を、税務当局から直接受けることもあります。
但し、それは、自動車使用者が自ら車を廃車にした場合に限られます。
車を売っても、売った車を廃車にしない場合には、税務当局から月割りで未経過分の自動車税の還付を受けることはありません。
その場合の自動車税の未経過分のやり取りは、買主と売主の間でのみの取引となります。
自動車重量税と自動車取得税の未経過分の取り扱いについて
車にかかる税金としては、自動車税の他、継続車検および新車登録時の車検の際に支払う自動車重量税、および、新規登録車検の際に支払う自動車取得税があります。
自動車重量税や自動車取得税は、車検期間の途中で車の下取りがあっても、買主から売主へ車検期間の未経過分に相当するそれらの税金のやり取りを行わないのが通例です。
その理由は、自動車重量税や自動車取得税は、人に課税される税金ではなく車両に課税される税金なので、車検の有効期間内に所有者が変わっても、車両自体が変わるわけではないので、税金の未経過分が発生するという考えが成立しないからです。
ただし、まれに、車検期間の途中で売買する場合に、自動車重量税や取得税の未経過分の還付をする下取店もあるので、一応は、それについて確認してみる必要があります。
車を下取りに出す際の消費税との関係
個人ユーザーが、自動車取引を営業として行わない個人に自動車を下取りに出す場合には、消費税が関係することはありません。
また、営業として自動車取引を行う者に自動車を下取りに出す場合でも、取引相手が消費税の課税事業者に該当しない場合にも、自動車の下取りと消費税は関係しません。
個人ユーザーが消費税の課税事業者である者に自動車を下取りに出す場合に初めて、自動車の下取りに消費税が関係してきます。
消費税の課税事業者とは、前々事業年度(個人事業主の場合は暦年で前々年)の消費税課税売上高が1,000万円超の事業者のことをいいます。
自動車取引は単価が高いですから、個人・法人を問わず、たいていの事業者は消費税課税事業者に該当しますので、専門業者に自動車の下取りを出す場合には、相手方が消費税の課税事業者であると考えて間違いはないでしょう。
下取り価格に消費税が計上されているかどうかを確認する
消費税の課税事業者に自動車を下取りに出す場合には、下取り価格には消費税分が含まれていなくてはなりません。
よって、自動車を下取りに出す際には、まず、取引相手が消費税の課税事業者であることを確認し、取引相手が消費税の課税事業者であれば、下取り価格に消費税が含まれているかどうかをさらに確認します。
下取り価格に消費税が含まれていない場合には、下取り価格に消費税の金額を上乗せするように要求します。
取引相手がベテランだと、この辺はうやむやにされてしまいますので、査定の際の調査書を確認し、消費税分がしっかり計上されているかどうかをチェックします。
査定額が下取りに出す自動車の車両評価額と同額であれば、消費税の計上漏れになるので、消費税分だけ査定価格を上げるように要求できます。
下取りの買取価格を高くする方法
下取りの買取価格を高くする方法にはさまざまありますが、下取り価格に含まれる税金をしっかりチェックするというのも1つの有力な方法です。
特に、消費税については、専門の買取店であっても、正確に消費税のことを理解していないところもあり、そのような買取店に自動車を下取りに出した場合、消費税の取扱いがいい加減になり、売主である個人ユーザーが損をしてしまうということもあります。
2019年10月からは、消費税の税率も10%となり、その存在は、ますます無視できないものとなります。
買取店に自動車を下取りに出す場合には、消費税の取扱いについてしっかり確認し、消費税をしっかり計上した金額で下取りをしてもらうことが大切です。
3月~4月の年度の切り替え時期に自動車を下取りに出す場合は別として、それ以外の時期に自動車を下取りに出すケースでは、下取り額に自動車税の未経過分を計上してもらう必要があります。
消費税とは異なり、買取店で自動車税の未経過分のことに詳しくないところはまずないでしょうが、悪質な買取店では、これをごまかす場合があるので、注意しなくてはなりません。
悪質な買取店に騙されて、下取り価格を不当に低い水準に設定されないように、個人ユーザーは、自動車税の未経過分の買取価格への計上の仕組みについて、ある程度のことは知っておく必要があります。
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