2019年10月から消費税の税率が10%に上がり、取引において消費税のことを考慮する必要性がますます高まっております。
では、個人ユーザーが自動車を下取り・買取りに出した場合、消費税の取扱いはどのようになるのでしょうか?
目次
車下取り・買取時の消費税の取扱いはどうなっているか
消費税は、事業者に課税されますので、ユーザー(消費者)が税務署に消費税を納めることはありません。
ユーザーは、事業主に購入した自動車の本体価格に上乗せして、8%の消費税を支払うことはありますが、所得税とは異なり、ユーザー自身が直接消費税を納めることはありません。
個人で車を売る場合、その個人は、消費税課税事業者に該当しませんから、買取店のような事業者が自動車を販売する場合とは異なり、車両本体価格に消費税を上乗せして販売することはできません。
買取店などの事業者が自動車を売る場合には、本体価格が100万円だとすると、消費税分の8万円を上乗せして販売できますが、個人ユーザーが自動車を売る場合には、本体価格の100万円そのままで販売します。
査定額に消費税は含まれているのか
消費税課税事業者であれば、売上時に受け取った消費税額から、仕入時に支払った消費税額を差引き、差額を、消費税として税務署に納税します。
よって、自動車を販売する際には、本体価格の他に、本体価格に8%を乗じて計算した消費税額を別途徴収します。
個人が自動車を売る場合には、その個人が事業者でないので、消費税を支払う義務はなく、消費税を徴収する必要はまったくありません。
よって、個人が自動車を売る場合の査定額には、消費税は含まれないのが普通です。
一方、自動車を買い取る買取店にしてみれば、自動車取引は、消費税の課税対象となる取引ですから、その査定額は、消費税を含んだものとして計算します。
よって、査定額が100万円とした場合、車両本体価格は926,000円、消費税額は74,000円となります。
複雑な話ですが、自動車を売る個人ユーザーから見た査定額には消費税は含まれていなくて、車を買う買取店(事業者)から見れば、買取査定額に消費税は含まれていることになります。
車を売る人の立場における消費税の取扱い
自動車を売る個人ユーザーは、消費税の課税事業者ではありません。
もし、課税事業者であれば、自動車を売る際に、その車両本体価格に8%の消費税額を上乗せして販売価格を決めなくてはなりません。
課税事業者であるとすれば、毎事業年度末に、売上時点で受け取った消費税と、仕入時点で支払った消費税額をそれぞれ計算し、その差額分を消費税として申告・納税する必要があります。
しかし、個人ユーザーは、そのような消費税の申告・納税の手続きが不要ですから、自動車を売る際に、消費税を取る必要はありません。
事業者ではない消費者は、商品やサービスを買うときには消費税を支払う必要はありますが、自分が商品やサービスを売る場合には、事業者ではないので、消費税を受け取る必要はありません。
なお、個人ユーザーが個人から自動車を買う場合には、売る側も買う側も消費税の課税事業者ではありませんので、双方とも、完全に税抜きの価格で取引を行うことになります。
業者から見た消費税の取扱い
買取店などの事業者の場合、毎年度末に、売上時に受け取った消費税額および仕入時に支払った消費税額をそれぞれ集計し、その差額を計算し、その金額を消費税として税務署に納める必要があります。
買取(仕入)先が個人ユーザーであろうが同業者であろうが、仕入(買取)価格は、消費税を含めて設定するのが普通です。
事業者から見ると、査定価格も含めて、買取価格は、消費税を含んだものとして設定されます。
買取店は、買取先が同業者であれば、買取先が本体価格の8%分の消費税を徴収する必要があることから、消費税分を上乗せして買取額を計算しなくてはならないという意識がはっきりしていますが、買取先が個人ユーザーであれば、個人ユーザーは消費税を徴収する必要がありませんから、買取額に消費税を含めて計算しなければならないという意識は低くなります。
買取の際に、現場に立ち会う査定士も、消費税の仕組みについてあまり詳しくないという者も多く、実際には、買取査定における消費税の取扱いはあいまいになっているというのが実情です。
法律上は、事業者が自動車を買い取る場合には、買取先が個人ユーザーであっても同業者であっても、その取引は消費税の課税取引となるので、取引価格は消費税を含めた金額として設定しなくてはなりません。
消費税の質問をして買取交渉を有利に進める
個人ユーザーが買取店に自動車を売る多くのケースでは、消費税の取扱いはあいまいになっています。
業者間同士の取引の場合、買取先が消費税を徴収する必要があるので、双方に、買取価格に消費税が含まれているという共通の認識があり、あまり混乱は起こりません。
個人ユーザーと買取店の取引の場合、個人ユーザーは消費税を徴収する必要がないのですが、買取店の方は、消費税を含んだものとして買取価格を決める必要があり、そのズレによって、買取の際に消費税の取扱いがあいまいになるという傾向があります。
たとえば、個人ユーザーが買取店に中古車の買取を依頼した場合、査定額が100万円となった場合、個人ユーザーは車両本体価格が100万円であるという認識を持ちますが、買取店側では、車両本体価格が926,000円、消費税額が74,000円、双方の合計で100万円ということになります。
個人ユーザーの方で、買取店が提示してくる査定額に消費税額が含まれているということが分かっていれば、買取店に対して、
と言うことができます。
交渉相手が、消費税の仕組みに詳しくない場合には、なるほどその通りだと個人ユーザーの主張に同調して、消費税分の値上げに応じてくれる可能性があります。
ベテランの査定士であれば、この主張をうまくかわして、やはり税込みで100万円ということに、うまく丸め込まれるかもしれません。
消費税を活用して買取額をUPさせる交渉術について
買取交渉の際、買取価格に消費税を含めて計算してくださいといってみるのは、より高い買取価格を勝ち取るためには、1つの有効な方法です。
ベテランの査定士であれば、個人ユーザーの買取の場合、消費税の納税義務はないので、売上げ時に消費税を徴収する必要はなく、税抜き価格で買い取ればよいと返してくるでしょう。
しかし、経験の浅い査定士であれば、消費税額分だけ査定額をアップしてくれるかもしれません。
などと話しかけて反応を見てみるのもよいでしょう。
査定が始まる前に、担当の査定士と雑談をして、その中で消費税のことを話題とし、査定士がどの程度消費税について知っているかと言うことを探って見るのも良いかもしれません。
消費税率のアップで消費税の影響は無視できなくなる
2018年4月現在、消費税の税率は8%ですが、2019年10月からは10%に増税されることが予定されています。
10%と言えば、取引価格の1割に相当しますから、結構大きな金額です。
消費税の税率は3%、5%、8%と徐々に増加してきました。
3%や5%の時は、買い物の際に代金に消費税が上乗せされても、それほど気にする必要はありませんでしたが、8%になると、結構、負担を感じるようになってきました。
それが10%に上昇すると、さらに大きな負担を感じることは間違いありません。
自動車取引は、結構大きな取引金額となります。
したがって、消費税率が10%になると、消費税の負担も相当大きなものになります。
100万円の自動車を購入する場合、税率が10%になると、その消費税額は10万円となり、購入代金は税込みで110万円となります。
自動車を売る方にとっても、消費税率が10%になると、売却代金に消費税が含まれるのか含まれないのかで、査定額がより大きく異なってきます。
消費税率が3%の時代には、査定額に消費税が含まれるか含まれないかはそれほど気にする必要はないかもしれません。
しかし、税率が10%になってくると、そんな悠長なことは言ってられなくなるでしょう。
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